本城です。

以前から気になっていた昭和のUFO事件のひとつに、皇居上空に現れたUFO事件というのがありました。今回、その事件のことを調べていたら、真相がわかりましたので記事にしておきます。

まず事件が起きたのは昭和51年(1976年)7月15日でした。この日の夕方6時30分頃、皇居の上空にUFOが出現。目撃したのは警察庁総合庁舎4階で残業中の、同庁鑑識課職員7名。事件は翌日の読売新聞で取り上げられて話題になりました。

『読売新聞』(1976年7月16日、23面)の記事

『読売新聞』(1976年7月16日、23面)の記事

記事によれば、UFOが現れたのは午後6時30分から約10分間。「皇居の銀座側の上空から姿を現し、皇居の上を低空旋回、その後、少しずつ角度を上げながら四谷方面に向かい、視界から消えた」といいます。

さらに「直径だけで数十メートルという超大型で、色も焦げ茶ないし黒という。しかも、その形は、丸くなったかと思うと角張ってきたり、ついにはアミーバ(※アメーバ)のように触手が伸びたりと、なんとも形容のしようのないもの」だったそうです。

そして、最後に鑑識課の方は次のように語りました。

「絶対まちがいありません。残った全員がはっきり見ているし、私たちは物を見るのが仕事なんですから。近隣の人も見てます。今までいいかげんなことと思っていましたが、これからUFOの存在を信じます」

この事件の特筆すべき点は、鑑識という、いかにも信頼できそうな職業につく複数の方たちが目撃し、それを大手メディアの『読売新聞』が報じているという点でしょう。しかも目撃内容をそのまま信じるなら、その正体もすぐには思い浮かびません。

ところが……この事件について調べてみたところ、2日後の読売新聞に続報記事が掲載されていることがわかりました。さらに正体までちゃんと判明していたそうです。

『読売新聞』(1976年7月18日、20面)の記事

『読売新聞』(1976年7月18日、20面)の記事

こちらの記事によると、UFOの正体は同じ日の夕方に丸の内の仲通りで地元商店街によって開かれていた「グラン・マルシェ」という出店市から飛ばされた風船の可能性が高いといいます。この市では飾りとして風船を大量に使用していたそうで、子ども達にも配っていたものが飛ばされてしまったようです。

実は、同じ日の夕方6時30分頃、有楽町駅前の電気ビル17階にいた東京都公害局の職員たちが、束になった風船を目撃していました。その風船は丸の内から皇居方面に飛んでいったそうですが、夕日に反射する中で、「まるでグニャグニャ動くアメーバ」のように見えたそうです。そして、その様子から「UFOと間違える人がいるかも」と話し合っていたとか。

これと同じようなものを目撃した人は他にもいました。それが皇宮警察本部坂下護衛署警備二係の松本三郎巡査部長で、松本さんは皇居内の警備中に、丸の内方面から飛んできた物体を目撃。持っていた双眼鏡で確認したところ、ヒモがついた計9個の風船だったことがわかったそうです。

以下は松本巡査部長の言葉です。

「変なものが皇居に向かって飛んできたので、職務上、注意深く監視した。風船に間違いない。その日は風船とわかったので上司には報告しなかったが、UFOではないかという記事が出ていたので改めて報告した」

念のため、私も1976年7月15日の風向きを気象庁のデータで調べてみましたが、一番近い時間の午後6時では東の風でした。これはUFOの飛行ルートと一致します。

というわけで、このUFOの正体は風船だったようです。

それにしても、この事件が改めて教えてくれるのは、どんなに信頼できそうな肩書きの人たちであっても、UFOに関する目撃内容をそのまま信じてしまうのは危ういということでした。

最初の記事によれば、普段は冷静な鑑識の方たちも、このときは突然の出来事に「ハチの巣をつついたような騒ぎ」になり、写真を撮ることすら忘れてしまったそうです。

人間誰しも冷静さを失うことがある、ということは肝に銘じておきたいところです。