本城です。

5月20日に『未確認動物UMAを科学する』という海外の本が翻訳出版されました。今回、版元さんからご恵贈いただきましたので、レビューを書きたいと思います。

本書で扱っているのは、謎の未確認動物、日本では「UMA」(ユーマ)と呼ばれているジャンルです。

著者はダニエル・ロクストンとドナルド・R・プロセロの2人。ロクストンはアメリカの懐疑団体「スケプティック・ソサエティ」が発行する『スケプティック』誌のスタッフ兼ライター、そして『ジュニア・スケプティック』誌の編集者。

一方のプロセロはロサンゼルス自然史博物館の古脊椎動物学研究部に所属する古生物学者、文筆家です。

本書では、まず第1章にてUMAを科学的に研究する上で必要となる基礎的な考え方やルールを紹介し、第2章以降ではビッグフット、イエティ、ネッシー、シーサーペント、モケーレ・ムベンベといった代表的なUMAを具体例として詳しく検証しています。

昔の新聞をマイクロフィルムで遡ったり、関係者へ手紙を出して話を聞いたりといった地道な調査も行われており、大変だったと思います。ですが好きであるがゆえに妥協しないその姿勢は、否定することが目的であれば到達できない、UMAに魅せられた者だからこそのこだわりだろうと思います。

ただし、こうした姿勢は著者2人に共通しているわけではありません。ロクストンは好きだから調べるといったタイプの研究者で、プロセロは科学者としての立場を重視するといった違いがあります。

とくに第7章では、本書のテーマを有害とみなすかどうかでは意見が正反対なのは興味深いところです。私はプロセロのようにことさら有害論を煽るような考え方には賛同しません。

また本書全体でも、その根拠でそこまで強いことは言えるだろうか、と疑問に思う点もいくつかありました。決して手放しで称賛できるわけではありません。

そうとはいえ、本書には役立つ情報も多いです。DNA鑑定や毛髪鑑定が、一般に主張されているほど簡単に新種決定につながるものではないことなどは、あまり知られていないのではないでしょうか。

また、かつて日本には「カラスの死骸は見つからない」論というものがありましたが、アメリカでは「熊の死骸は見つからない」論というものがあるいうのは、本書で初めて知りました。

これは、ビッグフットの死骸が見つかっていないと言われるが、実は熊の死骸も見つかてないんだよ、という主張です。本書ではこういった主張もちゃんと具体例をあげて調べていて、参考になること請け合いです。

本書は全部で600ページ近くもありますから、全部読みきるのは大変かもしれません。ですが扱われているのは研究者がガチで調べた情報です。ポーズだけのガチとは違います。

ぜひ本気の研究に触れてみてください。どういったスタイル、スタンスであれ、本書から得られるものはきっとあるはずです。