超常現象を愛するからこそ懐疑的調査を行う団体アシオスの公式ページ

心霊写真の調査

調査・執筆:横山雅司、本城達也
調査協力:若島利和、蒲田典弘、他モデル


「心霊写真」とされるものを調査し、その結果を下記にまとめた。これらは全体のほんの一部ながら、よく報告されるパターンごとにできるだけまとめ、その仕組みを解説することにつとめた。

 

オーブが写っている心霊写真

下の写真のような丸い球体は、一般に「オーブ」と呼ばれている。心霊写真の中では最も撮られやすい。霊能力があるという人の鑑定では、魂や何らかの霊体が写り込んだものになるという。本当だろうか。

オーブの例

オーブの例1(撮影:横山)

オーブの例2

オーブの例2(撮影:横山)

オーブの例3

オーブの例3(撮影:横山)

実際に写真を撮って検証してみると、オーブの正体は、「小さな光源がピンボケしたもの」だということがわかる。ここでいう「小さな光源」とは、多くの場合、空気中を漂うホコリ。これにカメラのフラッシュなどの強い光が当たって反射すると、小さな光源になる。

もし、この小さな光源がカメラの手前(それこそレンズの直前など)にあって、それを背景にピントがあっているカメラで撮影したらどうなるか。当然、ピントがあっていない範囲のものは、いわゆる「ピンぼけ」状態で写る。それがオーブの正体だ。

下の連続写真をご覧いただきたい。

鏡にホコリをつけた状態。(撮影:横山)

レンズに近づくとピントがボケてくる。(撮影:横山)

完全なピンぼけ状態。これがオーブ。(撮影:横山)

これはホコリがついた鏡を、鏡に映ったものに対してピントを合わせて撮影したもの。見てのとおり、鏡本体がレンズに近づくほど、表面のホコリがオーブ状に写っていくのがわかる。

もちろん、こうしたホコリは通常、空気中を漂っているものなので、それらを動画で撮影してもオーブとして映る。

下の動画は実際にホコリを撮影したもの。ひとつめは上、下、横と、いろいろな動きを見せている。2つめでは、動画が始まってすぐ、ホコリのオーブが右に動いて消えたかと思うと、今度は左に向かって動くものが現れる。

なお、ここではわかりやすくホコリを例にしたが、「ピンぼけした小さな光源」になるものは他にもある。たとえば「雨粒」「レンズに付着した小さな水滴」「手前にピントを合わせたときの遠くの照明」など。

雨粒がオーブ状に写った例(撮影:横山)

雨粒がオーブ状に写った例2。(撮影:横山)

レンズについた水滴がオーブ状に写った例。(撮影:横山)

このように、ひとくちに「オーブ」といっても、その原因は様々。連続で撮影した場合は、複数の原因によって数枚の写真にオーブが写ることもある。また逆に、連続で撮影したうちの一枚しかオーブが写らないこともある。

ホコリをはじめ、オーブの原因となりうるものは、空気中を静止しているわけではなく、常に動いていることが多い。そのため連続写真であっても、ピンぼけする範囲から外れてしまったり、光を反射しない動きをしているときはオーブ状に写らない場合がある。

オーブは見た目が単純でも、その仕組みはなかなか奥が深い。

 

体が透けている心霊写真

体が透ける心霊写真の場合は、霊能力があるという人の鑑定によれば、原因は何らかの警告を含んだ霊障の可能性が考えられるという。これも本当なのだろうか。

体が透ける例(撮影:横山)

頭が透ける例(撮影:本城)

手が透ける例(撮影:横山)

これらは実際に撮影してみると、「シャッタースピードが遅い状況で被写体が動いた」ことが原因だとわかる。

こういった写真は、夕暮れ時や夜、日影、またはやや暗めの室内などで撮れやすい。暗めの場所では、カメラは多くの光を取り込もうとしてシャッターを長く開ける。(これを「シャッタースピードが遅い」という)

シャッターが長く開いているということは、それだけ撮影時間が長くなるということ。もし、この長くなってしまった時間内に、撮影しようとした人物がうっかり動いてしまったらどう写るだろうか。

たとえば2秒間シャッターが開きっぱなしであったら、それは1枚の写真の中に2秒分の動きが記録されるということだ。

つまり、最初に人物が静止している間の姿は動かないのではっきり写る。しかし動き出したあとは背景が写るため、同じ場所に「人物」「背景」が重なり、人物が透明になったように写ってしまうのだ。(動いている途中の姿は、ゆっくりであれば「ブレ」として写り、比較的早ければほとんど写らない)

これは体の一部の動き、たとえば腕や足、頭などでも起こる現象である。ポーズをとっていた人物が撮影の瞬間にうっかり動いてしまったりすると手足や頭などが透明に写ることがある。

 

ケース・スタディ:頭が透けている写真

ここからは個別の事例を検証していきたい。まずは頭が透けている写真。

手前の透けた男性は幽霊だという。
(出典:黒田みのる『戦慄!! 心霊写真集 写った見えた! 霊の世界』大陸書房)

同じような条件で再現した写真。(撮影:本城)

同じような条件で再現した写真。(撮影:本城)

このような透明化は先に述べた仕組みが原因で撮れてしまう。特にこの事例の場合は背景に明るい照明があるため一層透けやすい(背景が明るいと、背景はハッキリ写りやすい)。なお、人物が白っぽく写っているのはカメラのフラッシュの反射が原因。

 

ケース・スタディ:手が透けている写真

左端の男性の左手が透けている。
(出典:佐藤有文/宗川圓学『これはすごい日本の心霊写真集』立風書房)

再現写真。(撮影:本城)

これも仕組みは基本的に同じ。シャッタースピードが少し長めの状態で、撮影時に手を動かしてしまったことが透明化の原因だと考えられる。

 

ケース・スタディ:手がおかしな写真

手が切れたようにおかしな写り方をしている。
(出典:黒田みのる『超恐怖! 心霊写真集』勁文社)

再現写真。(撮影:本城)

これは透明化せず、ただブレて写っているだけの写真。振り向きざまに手を振ったところを撮影されたために、このようにブレてしまったのだと考えられる。

カメラの設定や、撮影のタイミングと被写体が動くタイミングによっては、透明になるよりブレることも多い。

 

ケース・スタディ:腕が消えている写真

このタイプは、撮影時の自然な行為として腕を体の背後に回すなどした結果、腕が体や服の陰に隠れて見えなくなることが原因の場合が多い。

右上の女性の左腕が消えている。
(出典:黒田みのる『戦慄!! 心霊写真集 写った見えた! 霊の世界』大陸書房)

再現写真。(撮影:本城)

最初の写真は腕を後ろに回しているだけだと考えられる。その下は再現写真。半袖の方が袖口が広く、消えたように見えやすいが、長袖でも角度によっては、まるで腕が切り取られたかのように見えることもある。

 

ケース・スタディ:足が消えている写真

このタイプは女性を被写体にしている場合が多い。これはスカートをはいていて足が隠れやすいのと、撮影時にモデルのようにポーズをとるなどした結果、両足が重なってしまい、あたかも足が一本消えたように見えてしまうことが原因と考えられる。(男性の場合はハーフパンツが多い)

女性の足が1本しか写っていない。
(出典:黒田みのる『超恐怖! 心霊写真集』勁文社)

再現写真。(撮影:本城)

最初の写真は両足が重なるようなポーズをとったことが一本足に見える原因だと考えられる。下の写真はそのポーズを実際にとって再現したもの。

続いて、足が消える別の例。

真ん中の男の子の下半身が消えている。
(出典:「ほんとにあった怖い話」フジテレビ)

イラストレーターの開田裕治氏による解説イラスト。(許可を得て掲載)

これは下のイラストのように男の子は足を開いて立っているために、あたかも下半身が消えたように見えてしまったと考えられる。

 

ケース・スタディ:白いモヤの写真

白いモヤは、霊体(エクトプラズムなど)のようなものが写ったとされることが多い。しかしその正体は、いくつか考えられる。

たとえば下の写真の場合、雪が見えることから、撮影現場はかなり寒かったことがわかる。ということは白いモヤの正体は、撮影者がはいた息の可能性が高い。その下の写真は実際に撮影者の息を撮影したもの。

白いモヤの例1。(出典:龍顕正『戦慄!心霊写真の謎』学研)

白い息の再現写真。(撮影:本城)

 

続いての例は宴会場のような場所で撮られた写真。料理の湯気が白く写った可能性もあるが、タバコの煙が写った可能性も考えられる。ここではタバコの煙の可能性を考え、どのように写るかその下の写真で示した。

白いモヤの例2。
(出典:中岡俊哉『心霊写真の神秘』永岡書店)

タバコの煙。(撮影:本城)

 

続いての例は駐車場で撮られた写真。1枚目と同じく雪が写っているため、撮影者の息が白く写った可能性はある。ただし撮影現場は駐車場。寒い状況では車の排気ガスが白く写ることもある。その下の写真は、実際に車の排気ガスを撮影したもの。

白いモヤの例3。
(出典:龍顕正『戦慄!心霊写真の謎』学研)

車の排気ガスも白く写る。(撮影:蒲田)

以上の写真は、それぞれ撮影状況によっても質感は異なってくるが、実は肉眼で見えるよりも白く写っている。

とくに自身の息の場合、暗い場所では見えにくい上に、コンパクトカメラは暗いと判断すれば自動的にフラッシュをつける機種が多いため、気がつかないうちにフラッシュに反射した白いモヤの写真を撮影してしまうことがある。

息や車の排気ガスは、フラッシュがない状態ではデジタルカメラの液晶画面でもほとんど見えない。

なお、息が白く見えるためには、一般に湿度100%で気温17度以下という条件が必要である。これより低い湿度だと、だいたい気温14度くらいから息は白くなる。もし屋外などで白いモヤが写った場合は、こういった気候条件も調べるとよい。

 

ケース・スタディ:謎の光の輪が写った写真

下の写真に写っている光の輪のようなものの正体は、カメラにつけるストラップなどだと考えられる。その下の写真は実際に再現してみたもの。

謎の光の輪の例1。
(出典:佐藤有文/宗川圓学『これはすごい日本の心霊写真集』立風書房)

ストラップをレンズに被せた写真。(撮影:横山)

ストラップが白いと、光源を反射してこのように白く光って写ることがある。また白色以外の場合は、下の写真のように中央部分が光で白く飛び、周囲は元の色が写る。その下は再現写真。

謎の光の輪の例2。
(出典:黒田みのる『超恐怖! 心霊写真集』勁文社)

再現写真。(撮影:横山)

ちなみにストラップがほつれて糸が写り込んだ場合は下のようになる。

糸のように細いと、このように透けて写る。(撮影:横山)

一眼レフではない通常のフィルムカメラの場合、レンズとファインダーはつながっていないことが多い。そのためレンズ前に何かモノが遮っていても現像するまで普通は気づかない。それが、こういった写真がとくに昔はよく撮られた原因だと考えられる。

 

ケース・スタディ:奇妙な光の棒が写っている写真

最後のケース・スタディは奇妙な光の棒が写っている写真。投稿者によれば、下の写真は幼児の頃に撮られたもので、右手には石を持っていたはずなのに、大きな木切れが写っていて不思議に思ったという。これは何だろうか。

奇妙な光の棒が写っている。(出典:大窪南『恐怖写真館』朝日ソノラマ)

写真をよく見ると、周囲には葉っぱや枝が落ちている。そこから正体として考えられるのは、フラッシュを反射した落下中の葉っぱか小枝。

実物は見た目ほど大きくなく、葉っぱか小枝が撮影中にたまたまカメラの前を落下していったのだと考えられる。光っているのは、カメラのすぐ近くを落下してフラッシュを反射したからだ。

下に示したのは再現写真。フラッシュを反射すると、このようにまるで発光しているかのように写ることがわかる。

再現写真1。(撮影:横山)

再現写真2。(撮影:横山)

再現写真3。(撮影:横山)

 

心霊写真の多くは偶然撮られた失敗写真

最後に、ここまでご覧になられた方はお気づきだろうか。実は心霊写真といわれるものの中で、悪意や作為によるフェイク写真というのはそれほど多くない。最も多いのは撮影者が意図しない失敗写真。つまり心霊写真というのは、基本的に「偶然撮られた失敗写真」ともいえる。

こういった失敗は、カメラの仕組みを知ることや、様々なケース・スタディを知ることなどで減らすことはできる。

もし奇妙な写真を撮ってしまっても、すぐに心霊写真だと考えて怖がる必要はない。冷静に原因を考えてみよう。霊の仕業とは、またひと味違った面白い発見があるかもしれない。

  • Facebook
  • Hatena
  • twitter
  • Google+
PAGETOP
Copyright © ASIOS All Rights Reserved.