本城です。

先日、インドで人体自然発火現象(SHC)が起きたとニュースになりました。

「燃える赤ちゃん? =生後3カ月、汗で自然発火―インド」(時事通信)
「赤ちゃん“自然発火”生後3カ月で4回…汗が原因?」(テレ朝news)
「医師困惑“発火”する赤ちゃん、生後3か月にして4度火に包まれる」(Narinari.com)

海外でもニュースになっており、情報が錯綜している部分もありますが、最新の情報も追っている地元紙『The Times of India』と『The Hindu』を参考に、現在までの状況を以下にまとめておきたいと思います。

【家族構成】

SHCを起こしたとされるのは、インド南部のタミルナド州に住むラフル君。2013年5月22日生まれの生後3ヵ月の赤ちゃん。母親はラジェシュワリ(23歳)、父親はカルナ(26歳)。姉はナルマダ(3歳)。

下記動画は現地のニュース映像です。1分6秒から登場するのが母ラジェシュワリ、1分23秒からは父カルナがインタビューに応えています。

【各発火事例】

これまでに発火したのは計4回。最初の発火が生後9日目(5月31日)という以外、残りの3回の発生日は各メディアによってばらつきがあります。

【1回目の発火】

家の中にいたラフルの泣き声をラジェシュワリが聞き駆けつけると、ラフルの腹部にかけていた綿の布が燃えていた。そこで彼女が水をかけて消火。その後、救急車を呼び、ムンディヤムパッカム政府医科大学病院に入院。1週間後、火傷は治り退院。

【2回目の発火】

退院の数日後、今度はラフルの腹部と脚から発火。この時は父カルナが在宅。ラジェシュワリが水をかけて消化。火傷を負っていたため救急センターで治療を受け、ムンディヤムパッカム政府医科大学病院に2週間入院。

家は小屋が一部焼けたため、近所の人が消防署に通報。このとき通報を受けた消防士のP・ジャヤバランは、「家は部分的に破損しており、子どもが突然燃えたと言われた」と話す。

ラフルの退院後、一家はヴィリュップラムにあるカルナの実家へ移住。

【3回目の発火】

7月6日と31日の2つの説あり。このときの発火によってカルナの両親は一緒に住むことを拒否。そこで一家はポンディシェリー近くの親類の家に移った。

【4回目の発火】

8月の第1週に最後の発火。このときは背中以外の大部分に火傷を負う。当初はポンディシェリーのジャワハルラル研究所で治療を受けたが、8月8日にチェンナイにあるキルパウク医科大学病院の集中治療室に移った。現在4人の医師が24時間態勢で診ている。

【検査結果、医師の見解】

●キルパウク医科大病院小児科のナラヤナ・バブ医師は、当初、ラフル君がメタンやエタノールなどの可燃性のガスを何らかの理由で生み出しているのではないかと考えました。

そこでインドのサストラ大学の研究者チームが検査を行ったところ、そのようなガス成分の痕跡が見つかります。しかしチームを指揮するジョン・ボスコは、そのような痕跡は火傷治療の際に塗っている薬の影響が考えられるとして、再度、薬の影響を排除した検査を行いました。

その結果、痕跡は未検出になりました。どうやら最初の検査は塗り薬の影響を受けていたようです。

●これまでラフル君は12項目以上の検査を受けましたが、異常は見つかっていません。昨日には最新の汗の検査も行われましたが、やはり異常は見つかりませんでした。骨も内臓も健康で、火傷を負っているのは皮膚表面だけとのことです。

●キルパウク医科大病院形成外科のジャガン・モハン医師は次のように話します。

「子どもが自然発火した可能性はとても低い。傷跡は(母親の報告より)古いものがあります。我々は児童虐待の可能性を除外していません」

さて以上のように、現在のところ両親以外に目撃者がいないということもあり、児童虐待の可能性も考えられています。実際、警察の捜査も進められているとのことで、今後進展があるかもしれません。

ちなみにラフル君の一家は、この3ヵ月の間でかなり大変な目にあっています。家は焼け、父親は失業し、実家からは追い出され、母親は借金をして生活費と入院費を工面し、自殺未遂までするという苦しい状況です。

またもともと住んでいた村の住人たちからは、ラフル君は超常的な力を持っているか、黒魔術の被害者だと信じられているそうで、村に厄災をもたらす存在として一家ごと追い出されてしまったといいます。

血の涙を流す事例もそうでしたが、こういった事例は原因が何であれ、ときに家庭崩壊を招きかねません。ラフル君の一家はそうならないことを願うばかりです。