本城です。

今回の記事ではアメリカの懐疑論者、レイ・ハイマンを紹介します。まずは略歴から。

レイ・ハイマン(Ray Hyman/1928年~)

オレゴン大学の心理学者。コールド・リーディングのスペシャリスト。アメリカの懐疑団体サイコップ主催のアンケート投票では、「20世紀の傑出した懐疑論者10傑」の第5位。

ボストン大学の学生時代にはマジシャンとしても活動。1970年代初期になると、ジェイムズ・ランディマルセロ・トルッツィ、マーチン・ガードナーらと一緒に、「RSEP」(Resources for the Scientific Evaluation of the Paranormal)という超常現象の調査グループを結成。

1976年にはサイコップの創設メンバーとして同会に参加。毎年のように政府機関から依頼のある、霊能者の透視や予知の真偽についても調査している。しかし50年近く調査を続けているが、未だに本物と言える者には出会ったことがないという。

1992年からは、毎年8月にオレゴン州で、ジュニア・スケプティック関連のキャンプを主催している。


レイ・ハイマンというと、訳書がひとつもないので日本では知名度が低いのですが、海外では特に超能力関連を得意とする懐疑論者として有名です。また仲間の懐疑論者に対しても、異論があればハッキリ意見を述べることでも知られています。

たとえば、サイコップが最初に行なった占星術の反証実験では、その手法に問題があるとして批判の先頭に立ちましたし、ランディのサイキック・チャレンジに対しても懐疑論者の中では数少ない批判的意見の持ち主です。

しかしそんなハイマンも、昔はガチのビリーバー(信奉者)でした。若い頃、手相の占い師をしていたとき、何百人もの客がハイマンの占いはよく当たると証言していたため、自分には超常的な力があると思い込んでしまったそうです。

ところがあるとき、彼は突拍子もないことを思いつきます。「手相から読み取ったことと正反対のことを言ってみたらどうなるんだろう?」と。ハイマンは思い切ってそれを実行したところ、彼の信者はそれまでと全く変わらず熱狂的だったそうです。そして、これをきっかけに、ハイマンはこの種のものに懐疑的になったといいます。

自分には超常的な力があると思い込んでいる状況下で、もしかしたらと、自分の能力に疑いの目を向けるというのはなかなかできることではありませんね。何の力もない勘違いだと思い知らされる可能性があるわけですから。

しかしそれでも疑い、結果を自分に都合の良いように解釈する自己欺瞞にも陥らずに受け入れ、軌道修正することができたわけですから大したものです。おそらく若い頃のハイマンは、誤りを認めることは恥ではなく、むしろ誤りから目をそらして永遠に誤り続けるほうが恥だということに気付いたのだと思います。