心霊写真の再現
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オーブ(Orb)
丸い球体は、一般に「オーブ」と呼ばれているものである。
オーブにはいくつかの種類があるが、報告例がもっとも多いものは「点のような微小な光源のピンボケ」である。
背景にはきちんとピントがあっているので、「ピンボケ」と言われても意味がわからないかもしれないが、背景にピントがあっているからこそ、手前(それこそレンズの直前にあるような)にある光源にはピントがあっていないのである。
それでは手前の「微小な光源」とはなんであろうか。 多くの場合、空気中を漂うホコリである。これに強い光が当たると微小な光源になり、それを奥にピントがあっているカメラで撮影すると当然手前のホコリはピンボケになり滲み、いわゆるオーブ状に写るのである。 連続写真を見て欲しい。
これはホコリのついた鏡を、鏡に映ったものに対してピントを合わせて撮影したものである。 見ての通り、鏡本体がレンズに近づくほど、表面のホコリがオーブ状に写るのがわかる。
ようは「微小な光源がピンボケ」すればよいのだから、空気中のホコリに限らず、「雨粒」(上の左と中の写真)「レンズに付着した小さな水滴」(上の右の写真)「手前にピントを合わせたときの遠くの照明」などが考えられ、霊的なものだと騒ぐ前にまず状況を冷静に分析する必要があろう。
また、これ以外に、画面の外にある光源の光りがレンズ内で反射した像などがオーブとして騒がれる事がある。
余談だが、光源のピンボケによるオーブはカメラの「アイリス」(光の入り方を調節する部品)の形の影響を受けるので、穴をあけた紙をレンズにかぶせる事で変形させる事ができる。(写真参照)
動くオーブ
ここまで、オーブ(日本では「玉響」ともいう)は「微小な光源がピンボケ」したものだと説明してきたが、なかにはこういった再現写真まで添えた説明でも納得しない人もいる。 こういった人たちは、「動くオーブは本物」「(その動きをさして)まるで生き物のようだからホコリなどではありえない」といった理由を挙げることがある。
しかし確認もせず、ずぐに「あり得ない」と決め付けるのではなく、実際にホコリなどでは、どういった動きをするのか検証してみれば、ただのホコリでもいろいろな動きを見せることがよくわかる。
以下は、オーブ状に見えるホコリの動きを実際に撮影したものである。
動くオーブ その1
上、下、横と、いろいろな動きを見せている。
動くオーブ その2
動画が始まってすぐ、右に動いて消えたかと思うと、今度は左に向かって動くホコリが現れる。
体が透ける
ここで紹介するのは、身体が透けている写真の再現である。このタイプの写真はオーブと並んで心霊写真の中では比較的よく見かけるものなので、以下でわかりやすい解説を行うことにしよう。
皆さんご承知の通り、写真とは一瞬を切り取る手段であり、カメラはそのための装置である。
では、具体的にはその「一瞬」とは一体どれくらいの長さの時間であろうか。
カメラが切り取る「一瞬」とは、具体的にはシャッターが開いてから閉じるまでの間の時間の事である。写真を撮る、という事はカメラの内部にある光を記録する部分(フィルムやCCDなど)にカメラが見ている景色の光を当てる事と言ってよい。光を記録するには相応の強さの光を当てなければならないため、暗い場所では光が弱い分、シャッターが開いている時間の方を長くする必要がある。
一般に広く使われているコンパクトカメラの場合、この判断はカメラ自身が行うため撮影者本人は自分のカメラのシャッターが何秒開いているのか把握していない事が多い。
さて、暗いところではカメラの「一瞬」が長くなる事を説明した。では、その長くなってしまった「一瞬」の間に撮影しようとした人物が動いてしまったらどう写るだろうか。 たとえばシャッターが2秒間開きっぱなしであったら、それは1枚の写真として2秒分の写っている人の動きが記録されてしまう。
これがいわゆる「ぶれ」である。
暗い場所ではぶれているものは薄く写る。なぜならば動いていてその場にいる時間が短い分「その位置にいる時の人物」から来る光が写真に写るには弱すぎるからである。
夜、暗い場所にカメラを設置して、3秒ほどシャッターを開きっぱなしにしてその前を走り抜けてみると、動かない背景は写るが走り抜けた人物は写っていない事すらある。
だが、この時、例えば立っていた人物が走り出す瞬間を写した場合どう写るだろうか。
立っている間の姿は動かないのではっきり写るが走り出すと写らない。走り去った後は人物が立っていた場所の背景が写るため、同じ場所に人物と背景が同時に写る事になる。
背景が重なって写るため、人物が透明になったように写るのだ。これは体の一部の動き、例えば腕や足、頭などでも起こる現象である。また、光を反射しにくい黒い色に近い衣服ほど消えやすい。
シャッターが開いている間に、動いている人物に一瞬だけ強い光が当たった場合(自分のカメラがシャッターを長く開いている時に他人がフラッシュを焚いた、または自分のカメラのフラッシュの光っている時間よりシャッターが開いている時間の方が長かった場合)も、強く光が当たっていた瞬間の像だけが写り込み、その後その場所の背景が写るためやはり透明に見えるように写る。
このように、とくに暗い場所での撮影では、人間が目で見ているのとはかけ離れた奇妙な写真が多く撮れる。
もちろんこれらは、祟りを恐れて自称霊能者にすがりつくべき性質のものではなく、その奇妙さを面白がるのが正しいカメラの楽しみ方といえよう。
掲載されている写真は撮影実験の過程で撮られた奇妙な写真の数々である。どれがどのような状況下で撮影されたか推理してみて欲しい。もちろん合成などは一切していない。
光の帯
これは、光の帯が写りこんだ写真の再現である。
体が透ける写真の解説でも書いた通り最近のカメラであれば、暗い場所では自動的にシャッターの開いている時間が長くなる。そしてこの状態では当然「ぶれ」がでやすい。
体が透ける写真のところでは暗い場所でぶれた物は写りにくいという話をしたが、光源そのものである街灯などの照明は問題なく写ってしまう。
仮にシャッターが1秒間開いていたとする。その時、ライトをつけた自転車など、動く光源が通り過ぎたらどう写るだろうか。
自転車であれば1秒間に数メートルは進む。その進んだ距離だけの長さの光の帯が写る事になるのである。
カメラを手に持っていた場合、1秒間1ミリたりとも動かずにカメラを構えている事はプロカメラマンでも無理だろう。当然わずかだがカメラが動いてぶれた写真になる。(これを手ぶれという)
これがカメラにやや疎い素人であれば、平気で動いてかなりぶれた写真が撮れる可能性が高い。この時画面の中に街灯や住宅などの光源があると、光源は動かない物であっても、カメラの方が動いてしまうためやはり光の帯が映り込む事になる。
そしてこの光の帯の光源が蛍光灯だった場合、連続して光っているように見えるが、実際はとても早い周期で明滅しており、夜間などにシャッタースピードが長い状態で手ぶれ写真を撮影すると、この明滅が細長い光の破線として写ることがある。
これらは体が透ける現象と重なって起こる事があり、やたら神秘的な写真に仕上がってしまう事があるが、あくまで写真技術の問題であって自分に霊的な現象が起こったなどと早とちりしないようにして欲しい。
白いモヤ
上の写真は、左がカメラを構えている撮影者本人の吐いた息、中央はタバコの煙、右は車の排気ガスがストロボの光に浮かび上がって写り込んだ物である。
それぞれ質感は異なるが、肉眼で見えるよりも白く写っていることは共通している。特に自身の息の場合、暗い場所では見えにくい上に、コンパクトカメラは暗いと判断すれば自動的にストロボを光らせる機種が多いので、気がつかないうちにこのような写真を撮影してしまう事がある。
息や車の排気ガスは、上の写真のようにはっきり写っているが、ストロボ光の無い状態ではデジタルカメラの液晶画面でも殆ど見えない。
よくある失敗
下の写真に写っているのはストラップである。もとの色は、左から、白、グレー、ベージュ。
左の写真に写り込んでいるのは指。真ん中と右は赤一色のゴムだが、カメラで撮ると変色する。
同じくゴム。左はピンク、真ん中は黄色、右は三色全部。
上の三枚は糸くずがレンズにかかる可能性を考えて、糸を撮影。色は赤と緑。
ケーススタディ1:華厳の滝
左の写真は『特命リサーチ200X 超常現象編』(日本テレビ放送網)の92ページに掲載されている心霊写真である。栃木県にある華厳の滝で撮影された写真の下部に、人の顔が写っていたというものだが、この本では実際に現場に行って調べたところ、足下に写っていた人の顔は、被写体が写っていた展望台のすぐ後ろに一段低くなった別の展望台があり、そこに立っていた人の顔が写りこんだ可能性が高いと指摘している。
そこでASIOSでも、実際に現場に行って確認したところ、確かに展望台の下には別の展望台があり、この場所に人がいた場合は顔が写りこんでしまうことが確認された。右は再現写真である。(手すりは新しいものに変わっている)
ケーススタディ2:不思議な光
右の写真は、『恐怖写真館』大窪南【鑑定】 (朝日ソノラマ)の1ページ目に掲載されている写真である。
茨城県在住の相談者によれば、この写真は相談者が幼児の頃に撮られたもので、右手には石を持っていたはずなのに、変なものが写っていたので不思議に思い鑑定を依頼したとのこと。
ちなみに大窪氏の鑑定によれば、これは迷い霊の仕業で、派手なパフォーマンスがしたかったのだという。
上の写真は「迷い霊の仕業」だとされたものを再現した写真である。写っているものの正体は、左と真ん中が枝で、右は葉っぱ。
林の中で撮影された際に、上から枝や葉が落ちてきて、それらにストロボの強い光が反射したのではないか、という仮説のもとに検証した写真である。同じ撮影状況の中、ほぼ同様の再現写真が撮れたことから、写真に写っていたものの正体は枝の可能性が高い。
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