こんにちは。那須野です。

さて、『騙し騙され史』の第一回目は、「動物はウソをつくか?」について。チンパンジーを対象にした実験によると、チンパンジーもウソをつくことが判明したということです。

しかし、彼らがウソをついたのは、“ある状況を設定された実験室の中だけ”だったそうです。その実験は、餌を入れてフタをした容器のありかを、親切な調教師には教え、不親切な調教師には教えないように仕向けるといったもので、若い4匹のチンパンジーを対象に行われました。

実験を行った結果、最終的には、4匹とも不親切な調教師には教えなくなりましたが、実験の意図を理解していたのは、4匹のうち1匹だけでした。この1匹は親切な調教師には本当のことを教えて、不親切な調教師にはウソをつこうとする姿勢をハッキリと示したそうです。

しかし、この“不親切な調教師にニセの情報を伝える(ウソをつく)”という行動は、実験室以外のところでは観察されませんでした。

もともと動物は物を指差したりはしませんし、人間が動物に物を指差して教えようとしても、指先を見つめるだけで、指先が示している物には注意がいかないものです。

けれどもウソをつくためにはどうしても必要な行動だったので、チンパンジーたちは、餌を入れてフタをした容器のありかを教える方法として「指をさして示す」ことを覚えたそうです。

しかし、実験室を一歩出ると、彼らは決してそのような行動をとりませんでした。餌を独占できたり、他の動物や意地悪な調教師にニセ情報を与えられるような場合でも、ウソをつこうとしなかったのです。

つまり、「動物にもウソをつくことはできるが、『意図的に騙すためのウソ』は人間に固有のもの」と考えられるということでした。「人間だからこそウソをつくのであり、ウソをつくからこそ人間である」といったところでしょうか。

ウソをつくことと真実を語ることを区別する能力もまた人間と動物を分けるものなのかもしれません。『騙し騙され史』では、そんな人間味あふれる(?)ウソ・悪ふざけ・でっちあげ・作り話…の数々を紹介していく予定です。お楽しみに~