本城です。今年もよろしくお願いします。

さて、新年最初は、昨年末に放送された「ビートたけしの超常現象Xファイル」に登場したジョー・ブロギーについて書きたいと思います。

ブロギーは脳で考えたことを読み取ることができる「ブレイン・ハッカー」だといいます。ですが本国アメリカでの肩書きは超能力者などではなく、マジシャンです。
http://www.joebrogielive.com/

4つ演じていた演目もマジックでした。特に3つ目の本を使ったものは典型的なマジックで、マジックに親しんでいる人にはお馴染みの「ブック・テスト」と呼ばれているものでした。他の演目についてはこれまで書いたことがありますので、今回はこのブック・テストについて書いておきたいと思います。

まずブック・テストと呼ばれる現象を簡単に説明しておきますと、観客が本の中から選んだページに書かれている言葉などを演者が言い当てるというものです。

その起源は古く、マジック研究家の松田道弘さんによれば、1850年代までさかのぼるといいます。考案したのはウィーンのマジシャン、ホーフジンサーで、彼の原案から今日まで数十種類ものブック・テストが生み出されてきました。ブロギーが演じたものも、こうした中のひとつです。彼が演じた内容はこうでした。

最初にブロギーが未読だという6冊の本の中からタレントさんに自由に1冊を選んでもらいます。次に前もって選んでもらっていた好きな数字をイメージさせ、その数字と同じページを開いてもらいます。そしてそのページの最初から4、5行目までを黙読してもらって、その内容のイメージを読み取るというものです。

さて、ここでブロギーが脳をハッキングできると仮定してみましょう。すると明らかに不要な手順が2つ入っていることがわかります。「好きな数字と同じページを開いてもらう」ことと、「ページの最初から4、5行目までを指定する」ことです。

もともとブロギーは本を未読という設定なのですから、仮にページ数がハッキングできたところで内容の読み取りには何の手助けにもなりません。「好きな数字と同じページ」と演者が指定するのではなく、本来は自由にページを選んでもらう方が不思議度は増します。(ブック・テストの他のやり方にはそういうのもあります)

また、ページのどこを読むのか指定するというのも、脳をハッキングできるなら不要な手順でした。これも好きなところを選んでもらうだけで良かったです。

では、なぜそのような不要な手順を踏まなければなかったかというと、マジックとしては必要だったからでした。つまり、事前に何ページのどこを読むのかを知り、その内容を断片的に覚えておく必要があったということです。

ページ内のどこを読むのかは演者が指定するので最初からわかっています。ページ数は好きな数字を知っていればわかります。2011年の同番組で、似たような数字のパフォーマンスがあった際、出演した大槻教授が、他のタレントさんが事前に好きな数字を聞かれていたと書かれていました。今回もそうだったのだと思います。

大槻教授は、今年も選ばれるタレントさんや段取りが事前に決められていたとも書かれていますから、6冊の本もわかっていたはずです。

使われる本、ページ数、ページ内の箇所が事前にわかっているなら、あと必要なのは6冊の本の該当箇所を断片的に覚えておく作業です。タレントさんはサクラではありませんので、番組でやったように任意で1冊を選んでもらう場合は、どの本が選ばれてもいいようにすべて覚えておく作業は必要です。

長くなってしまいましたが、これがブロギーのやり方だったと思います。脳はハッキングしてなかったはずです。